地震火山子どもサマースクール
-丹那断層のひみつ- に参加して
参加中学生代表(神奈川県藤沢市)
夏休みもまもなく終わろうとする8月20日に、地震火山子どもサマースクールに参加しました。この行事は日本地震学会・日本火山学会の先生方が、小中高校生を対象とした自然観察や実験を通して、楽しく学ぶ教室です。今回は静岡県の函南町で1930年に伊豆半島の北部中央の北伊豆地震によって地表に現れた活断層である丹那断層の観察を中心にやりました。
スクールでは最初に函南町中央公民館に集合して、自己紹介ゲームをして先生や参加者の人たちに会いました。自己紹介ゲームのルールは簡単で、出会った人と握手をして相手の紙に自分の名前を書いてくというものです。少しの時間にどれだけ名前を書いてもらえるかということを競うゲームです。このゲームの目的はただ交流を深めるというだけではなく、災害時に一人でも多くの人とコミュニケーションをとることが大切であることを知るためにもあるのだそうです。その結果一番多くの名前を書いてもらった人から発表して、次々とチームに分けられました。チームは学年縦割りで、高校生をリーダーとして小学校5年生までで編成されています。僕は藤沢市科学少年団に入っているので、この方法のいいところはよく知っています。でも、少年団と違って自分がチームのリーダーでなくて、高校生だったので安心しました。実際いろいろのところで、チームのメンバーから幅広い考えが集まり大変勉強になりました。チームの名前は静岡県の火山の名前が付けられているのも理想的だなと思いました。因に僕のチームは「富士」でしたが、その他に「愛鷹」「天城」「大室」「箱根」です。
次に、このスクールの代表者である静岡大学教育学部助教授の小山真人先生のお話がありました。その中で、これからバスの中で考えておいてもらいたいこととして宿題がありました。それは、ドラえもんの漫画に出てくるもので、「富士山は何回も噴火したのに何故高さが低くならないで高くなったの?」とのびたがドラえもんに聞くところです。答えは午後にやるので自分で考えておくようにということでした。
それからバスに乗り、伊豆スカイライン玄岳北西駐車場に行き、そこから丹那盆地を見る予定でした。始め霧の中でしたが、少しずつ晴れて見えてきました。でも僕は「ここで本当に地震があったのか?」と疑問が残りました。でも、東京都立大学理学部の山崎晴雄先生からの話や写真を使って断層を書き込んだりするクイズをやったりして少しは想像できました。でも、実際にどのくらい動いた断層なのか見たいという気持ちに駆られました。
丹那盆地内の丹那断層公園に移動すると、そこでは丹那盆地や田代盆地に断層が通っている場所を立体模型で説明されてよくわかりました。ここでもクイズがでて、「断層がずれたところを探して、その長さがどれくらいかを探そう」というのです。答えのでている看板などが紙で隠されているので自分たちで考えなければなりません。そこで僕たちは、公園の中に昔、家の裏庭にあった円形のごみ捨て場が半円形になって別れて横に真っ二つに動き、これと同じことが水路や石垣にもあることから断層の通っているところやずれの大きさや方向を考えました。僕たちのチームが一番早く解けたので、ごほうびにナマズの絵の描かれた「ナマズカード」を3枚もらいました。質問に答えて正解だったり、鋭い質問だったりしたらもらえるカードです。大変うれしかったです。公園内の地下を掘った観察壁面で山崎先生のお話では、断層は地下深くにあって地震によって地表に現れたものであること、丹那断層は横ずれで、平成7年の阪神淡路大震災でも同じ横ずれでだったということです。それから鹿島建設小堀研究室地盤研究部次長の武村雅之先生からは、断層の近くは地震の被害が多いが、地盤の弱いところではもっと地震の被害が大きくなると聞かされました。私たち人間は地盤の事を考えて家やビルやマンションをたてなけれなならないことを知りました。
昼ご飯を食べて池の山峠の断層地形観察をやり、午後は函南町農村環境改善センターで実験と基礎知識の講義がありました。断層模型実験は自分たちの身近にある小麦粉と純ココアを使ってスライドケースに5層の地層を積み重ね、固めて端から押して逆断層を作るものです。実験は簡単ですぐにできましたが、高校2年生のリーダーは僕より丁寧にやってきれいな断層ができました。さすが先輩!という感じです。次の地盤液状化実験のやり方は半分に切ったペットボトルの底に100ccの水を入れてその上に500ccの砂を入れ、スプーンで水が一箇所に固まらないようにかき混ぜて砂の上に消しゴムなどを載せてペットボトルの横をたたいて地震と同じような状況を作ります。すると地表にあった消しゴムが見る見る一にみるみるうちに沈んでいきました。これが液状化という現象で、埋立地やゆるい地盤のところで多く発生します。始めは「たかが水が」と思っていたのですが、実際やってみてその水の力の力に驚きました。前から液状化については興味があったのですが、実験できたことをうれしく思っています。液状化が起きるゆるい地盤で、ある程度の地震動があれば高層ビルですら倒してしまうほどの現象ですから、「水って恐ろしいな、すごい力があるんだな」と思いました。
実験が終わると、続けて多目的ホールでOHPを使って山崎・武村・小山先生から基礎講座があり、話はよくわかりました。山崎先生は活断層、武村先生は地盤や地震や液状化のしくみ、小山先生からは火山のしくみや歴史についての話がありました。小山先生の話の中で、今日出発前に出された問題の答え合わせがありました。富士山が高くなった原因ですが、僕の予想は富士山が噴火したときに出てきたものが富士山に積もってできたのだと思いました。答えは溶岩や火山灰が積み重なって高くなったというものでした。富士山は周りの箱根火山や愛鷹火山より若いということを知りましたが、それでも約10万年という年齢で、人間の年齢は到底及びません。火山はただ噴火して怖いだけではありません。火山は私たちに沢山の恵みを与えてくれます。温泉は火山の熱が作ったものですし、美しい形も、伊豆高原のなだらかな大地も、浄連の滝や河津七滝などの名瀑もすべて長い歴史の中で火山が作ったものということがテキストでよくわかりました。
最後に今日1日で集めた「ナマズカード」の最高数の発表と一人ひとりに写真入りの「ナマズ博士認定証」が配られ、日程が終了しました。このサマースクールに参加して火山や丹那断層のひみつがわかるよい経験をしたと思います。
翌日僕は地震・火山の理解と防災教育に関するシンポジウムのパネルディスカッションにパネリストとして、兵庫県立芦屋高校の数越達也先生や武村先生、その他に高校生と小学生とともに参加しました。前日の3人の先生の講義より少し大人向けのような感じを受けました。シンポジウムでは山崎先生と小山先生は前日と同じような講義でした。名古屋大学理学部助教授の山岡耕春先生は「地震はなぜ起こるのかという題で、地震の起き方やどういう状況下で地震が起きるのか、内陸地震とプレート境界型地震のメカニズムの違いなどの話がありました。特に地震は火山で起きる極く一部のものを除いて、ほとんどは断層のずれによって起きる。そのずれが非常に大きい場合だけ、断層が地表に現れて私たちが見えることができる、というところが印象的でした。サマースクールの代表者である僕たちは感想を述べるようにいわれましたが、その時の緊張感は今でも忘れられません。この2日間で学んだことをこれからの学校での勉強に役立てるようにしていきたいと思います。
最後になりますが、スタッフの先生方にこれだけの沢山の内容のことを教えて下さったことに感謝します。