日本火山学会1999年秋季大会予稿集
地震火山こどもサマースクール「丹那断層のひみつ」
小山真人(静岡大教育)・地震火山こどもサマースクール企画・実行委員会*
"Secrets of Tanna Fault": Schoolchildren's summer course of seismology and volcanology
Masato Koyama (Faculty of Education, Shizuoka Univ.) and Planning & Executive Committee for Schoolchildren's Summer Course of Seismology and Volcanology*
*地震学会側委員:桑原央治(大島高校),山崎晴雄(都立大理),中川和之(時事通信),岡本義雄(大阪府教育セ),数越達也(芦屋高校),中丸明子(神田中学校).火山学会側委員:小山真人(静岡大教育,平成11年度委員長),早川由紀夫(群馬大教育),山岡耕春(名大理),相原延光(小田原城内高校)
1999年8月20〜21日の2日間,伊豆半島北部の静岡県田方郡函南町中央公民館,丹那断層公園,函南町農村環境改善センターなどを会場とし,一般から募集した児童生徒を対象として表記のサマースクール(主催:日本地震学会・日本火山学会,後援:静岡県教育委員会・函南町教育委員会)ならびに一般市民も対象とした関連シンポジウムを企画・実施したので報告する.なお,本予稿集原稿の〆切日がサマースクールの実施日と重なったため,最終的な実施状況などの詳細な情報についてはhttp://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/izu/index.html
を参照してほしい.
経緯と企画概要
1998年10月,地震学会の桑原央治学校教育委員長から火山学会に対し,児童生徒向けに野外における地震・火山教育イベントを企画・実施するための協力要請があった.協議のうえ両学会から委員が選出され,表記委員会(委員10名)を組織した.以後,おもに電子メールをつうじた議論によって計画を煮詰めた.当初は伊豆半島と伊豆大島での合計5日間にわたるプランが立案されたが,準備期間の不足などから計画を縮小し,今夏は伊豆半島のみの2日間の企画として実施することになった.そのうち,第1日を児童生徒のみを対象とした「地震火山こどもサマースクール」とし,第2日に児童生徒だけでなく一般市民も対象とした「地震・火山の理解と防災教育に関するシンポジウム」を開催し,第1日めの報告会を兼ねるとともに,広く一般に対する地震・火山の基礎知識の普及をめざした.なお,第1日および第2日を合わせた総称として形式上「'99
地震火山・夏のセミナー&シンポジウム」を用いた.
サマースクール
第1日「地震火山こどもサマースクール」では,伊豆半島周辺の火山や活断層・丹那断層を題材とし,野外での地形・地質観察や室内実験をゲーム形式での説明をおりまぜながら児童生徒に体験させることによって,活断層や地震・火山災害についての基礎知識を学び,大地の営みについての理解を深めさせることを目的とした.
募集対象は,静岡および神奈川県内の小学校5年生から高校3年生までの児童生徒とし,募集人員は用意できるバス座席の制限によって40名とした.募集の広報には,地元教育委員会・博物館・静岡県防災局などのネットワークをもちいたほか,地元新聞にも案内を掲載した.参加費用は,現地レストランでの昼食代,実験材料費,テキスト印刷代,傷害保険料,有料道路料金などの実費として参加者1名につき2500円を集めた.会場およびバスは,地元函南町からの無償提供を受けた.行程の概略は以下の通りである.
08:30 函南町中央公民館で参加受付
09:00 開講式,オリエンテーション,チーム分け
09:30 伊豆スカイランの駐車場に移動し,火山地形・活断層地形の観察
11:00 丹那断層公園に移動し,丹那断層の観察
12:00 酪農王国オラッチェのレストランで昼食
13:30 農村環境改善センターで,食材を使った断層模型実験,ペットボトルと砂を使った地盤液状化実験
15:00 地震・火山・活断層の基礎知識についての講義
16:30 閉講式の後,函南町中央公民館に移動・解散
各観察地点においては,案内者の一方的な解説とならぬよう,参加者をあらかじめ年令を分散させた5つのチームに分けて共通の課題をあたえ,気の利いた質問や回答をしたチームには「なまずカード」をあたえ,集めたカードの枚数を競わせるゲーム方式をとった.閉講式では参加者全員に「なまず博士」の認定証をあたえた.
シンポジウム
第2日「地震・火山の理解と防災教育に関するシンポジウム」は,児童生徒だけでなく広く地元の一般市民も対象とし,地震・火山にかんする基礎知識を普及するとともに,新しい魅力的な防災教育のあり方を模索することを目的としておこなった.日時は,8月21日12:30〜17:00,会場は函南町中央公民館の大ホール(600名)である.
シンポジウムでは,前半の3件の普及講演:山崎晴雄「活断層って何だろう」,山岡耕春「地震はなぜ起きるのか」,小山真人「火山の見つけ方,つきあい方」の後,中川和之がコーディネータとなって「災害理解の文化をつくろう」と題した後半のパネルディスカッションをおこなった.パネリストには武村雅之(鹿島建設),数越達也の2名のほか,第1日のサマースクールに参加した児童生徒3名が加わり,サマースクールの報告会も兼ねた催しとした.
謝辞:本プランの企画・実施にあたって,棚井郁夫(函南町教委),小澤邦雄・岩田孝仁・法月義久(静岡県防災局),武村雅之(鹿島建設),宮嶋衛次(道立理科教育セ),川端信正(静岡総研防災情報研究所)の方々に大変お世話になりました.ここに記して感謝します.