第22回歴史地震研究会

 安政二年(1855年)の江戸地震からちょうど150年を迎えた2005年,歴史地震研究会は東京都墨田区の江戸東京博物館のご協力を得て9月16日(金)〜18日(日)に研究発表会を行いました.また,17日(土)の午後には,東大名誉教授の宇佐美龍夫氏,江戸東京博物館教授の小澤 弘氏,および東大名誉教授の溝上 恵氏をお招きし,安政江戸地震や想定首都圏直下地震などについて公開講演会を催しました.詳細は以下の通りです.なお,研究発表会ならびに公開講演会は,いずれも江戸東京博物館1階会議室にて行われました.

日 程 :

 9月16日(金)研究発表会1日目・懇親会

10:00〜10:10 江戸東京博物館 竹内誠館長のご挨拶

10:10〜11:40 研究発表会【歴史上の津波】
石辺岳男・島崎邦彦(東大地震研)・岡村 眞・松岡裕美(高知大)・千田 昇(大分大)
 
慶長豊後地震の波源推定(続報)
都司嘉宣(東大地震研)
 小笠原諸島の津波史
河名俊男(琉球大)・島袋永夫(元・栄三建設)・中田 高(広島工業大)・正木 譲(元・石垣島地方気象台)・島袋綾野(石垣市役所)
 石垣島南部(四箇・平得・真栄里・大浜)における1771年明和津波の遡上高
羽鳥徳太郎
 東京湾・浦賀水道沿岸の元禄関東(1703),安政東海(1854)津波の遡上状況
羽鳥徳太郎
 九州北部近海の歴史地震と仮定津波の伝搬図

11:40〜13:30 昼休み

13:30〜15:30 研究発表会【地震災害・津波被害】
坂部和夫
 天正地震(1586年)時の岐阜県郡上市高鷲町における大規模山体崩壊について
西山昭仁(大谷大学)・小松原 琢(産総研)
 寛文二年(1662)近江・若狭地震における京都盆地での被害状況
渡邊 健(渡邊探査技術)・植竹富一(東京電力)・中村亮一(東電設計)・宇佐美龍夫(東大名誉教授)
 1828年三条地震の絵図「懲震_鑑」の示す地震の状況
大林 綾(神奈川大学)
 1833年(天保4年)加賀藩輪島町における津波被害について〜能登輪島住吉神社文書を中心に〜
井上公夫・今村隆正・笠原亮一(日本工営)
 伊賀上野地震(1854)と南山城水害(1953)の土砂災害の比較検証
行谷佑一・都司嘉宣(東大地震研)
 寺院神社の被害記事からみた安政東海地震(1854)の震度分布
榎本祐嗣(信州大学)
 小藤文次郎の濃尾地震根尾谷断層写真をめぐって
小松原 琢(産総研)
 明治庄内地震の集落別被害と微地形

15:30〜15:45 休憩

15:45〜17:00 研究発表会【震災対応・危険度評価】
松岡祐也(東北大学)
 『言経卿記』に見る文禄五年伏見地震での震災対応−特に「和歌を押す」行為について−
林 能成・木村玲欧(名古屋大)
 インタビュー調査から明らかになった1945年三河地震の災害対応の様子
木村玲欧・林 能成(名古屋大)
 インタビュー調査から明らかになった被災者心理と行動パターン〜災害発生後10時間 失見当・救助・救出・安否確認〜
大谷 寛・宮本大輔・上月康則・村上仁士(徳島大)
 津波による被災状況を取り入れた避難ゲームの開発
中村亮一(東電設計)・島崎邦彦(東大地震研)・Wahyu Triyoso(バンドン工科大学)
 歴史地震データによる地震危険度評価の検証手法

18:00〜20:00 懇親会(場所:江戸東京博物館7階「隅田川」)

 9月17日(土)研究発表会2日目・公開講演会・総会

10:00〜12:00 研究発表会【歴史上の地震】
徳光亮一・菅原正晴(東電設計)・植竹富一(東京電力)
 震度分布性状から見た1828年三条地震の断層モデルの評価
都司嘉宣・伊藤純一(東大地震研)
 安政東海地震(1854-a)および安政南海地震(1854-b)の武者資料のピンポイント・データベース化
小山真人・生島佳代子・岩垣 舞・安藤さやか(静岡大学)
 自然現象記録媒体としての13世紀古記録の特性分析―未発見の東海地震探求のための基礎研究
小松原純子・藤原 治・鎌滝孝信(産総研)
 南海トラフ沿岸域における津波堆積物研究の現状
堀 高峰(独立行政法人海洋研究開発機構)
 巨大地震の連動性と発生間隔のゆらぎのメカニズム
松浦律子(地震予知総合研究振興会)・中村 操((株)防災情報サービス)・茅野一郎・唐鎌郁夫
 江戸時代の歴史地震の震源域・規模の再検討作業−7年間の成果中間報告−
石辺岳男・島崎邦彦(東大地震研)
 気象庁一元化カタログ及び活断層データを用いた地震活動評価
纐纈一起(東大地震研)・吉井敏尅(日大)
 「理科年表・日本付近のおもな被害地震年代表」の変遷

12:00〜14:00 昼休み

14:00〜16:30 公開講演会【首都直下地震について語る−安政江戸地震を踏まえて】
 司会:武村雅之(鹿島小堀研究室)
14:00〜14:05 歴史地震研究会会長挨拶:都司嘉宣(東大地震研究所助教授)
14:05〜14:50 安政江戸地震とその被害:宇佐美龍夫(東大名誉教授)
14:50〜15:35 安政江戸地震と「名所江戸百景」:小澤 弘(江戸東京博物館教授)
15:35〜15:45 休憩
15:45〜16:30 想定首都直下地震について:溝上 恵(東大名誉教授)
17:00〜18:00 歴史地震研究会総会

 9月18日(日)研究発表会3日目

10:00〜12:00 研究発表会【江戸・東京の地震】
伊藤純一(東大地震研)
 江戸時代の震度計−震動の客観的基準を必要とした人々−
宇佐美龍夫(東大名誉教授)・渡邊 健(渡邊探査技術)
 江戸(東京)における毎年の有感地震回数の変遷(第2報)
都司嘉宣・伊藤純一・上田和枝・行谷佑一(東大地震研)
 元禄地震(1703)の詳細震度分布
中村 操((株)防災情報サービス)・松浦律子(地震予知総合研究振興会)・白石睦弥(弘前大学)
 安政江戸地震について
白石睦弥(弘前大学)
 「秘日記」からみた安政江戸地震の被害
諸井孝文・武村雅之(鹿島建設)
 1923年関東地震による東京都心部の人的被害−1855年安政江戸地震との比較−
遠田晋次(産総研)・中村亮一(東電設計)・宍倉正展(産総研)・Bill Bakun・Ross Stein(USGS)
 関東のプレート構造と安政江戸地震の震源
古村孝志(東大地震研)・中村 操((株)防災情報サービス)・山中佳子・室谷智子(東大地震研)
 明治東京地震の震源像と強震動


もどる